岩魚釣り師が海に出た

SFM

2020年01月11日 20:03

海釣りは若い頃にサビキで豆アジを釣って以来、かれこれ四半世紀以上ご無沙汰である。

この冬。
故あって。
岩魚釣り師は海に出なければならない。

さて。
海に出るのはいいけれど、一体どうやって出たらいいのだろうか。

そんな僕を見かねて海に連れて行ってくれたのはB場ちゃんである。

こんな時は余計な口出しは禁物である。
人任せで無責任な釣りではあるけれど。
たまにはネ。


道中、彼に聞くところによると。
海には潮というものがある。
上げ潮、下げ潮、それぞれにチャンスがある。
潮の天井や底では釣果を得るのは難しいようである。
そのあたりの指標は緩やかなカーブを描く曲線で示され、一目瞭然のアプリなども出回っているそうである。
要するに、のべつまくなしに釣っていればいいってもんじゃないらしいのである。

知らなかった。
山国の岩魚釣り師は世情に疎いとは言え、何から何までおんぶに抱っこ。
この体たらく、源流王の覇気など見る影もない。


明け方。




釣り支度をするB場ちゃんとKONちゃん。



この二人は誹謗中傷の応酬がよく似合う。
見ている僕は心が和む。


さて。
釣れてくれれば相手は誰でも構わない。
日頃から、謙虚さを身上とする岩魚釣り師としては、贅沢を言う心算などは毛頭無いのであるよ。


下げ潮の局面ではフグである。




上げ潮の局面ではタコである。




後にも先にも僕の釣果はこれだけである。
敢えて多くは語るまい。



貧果に喘ぐ真冬の日本海は心底堪える。


寒さに耐え、根気よく釣りを続けるB場ちゃん。




車内に逃げ込むKONちゃん。




釣り師の本性が見て取れる。




問題はこの後である。
思いがけず、生まれて初めてタコの活き締めをやらざるを得なくなっちゃったのである。
後は野となれ山となれとしか言いようがない。




タコには気の毒であるが、大量の塩を使ってぬめりを落とす。




この段階ではまだ生きている。
ここで生タコの薄造りといきたいところであるが、僕のウデでは心許ない。




さらに気の毒ではあるが、煮えたぎった熱湯で一風呂浴びて頂かなければならない。




これにて一件落着。




関連記事