無券遊漁者は逃げられない
各地で解禁を迎えるこの季節。
長い禁漁期を耐え抜いた釣り師諸氏におかれては、少なからず心を躍らせておられることと想像する。
一方、無券遊魚を信条として、密漁に精を出すべく跳梁跋扈を目論む向きも少なくないに違いない。
人目につきにくい源流域まで入り込んでしまえば、漁場の監視は行き届かないと思いたいのが無券遊漁者の思惑ではないだろうか。
寝不足に耐えつつ未明に入溪。
長時間にわたる過酷な遡行の末、漸く辿り着いた源流域。
「やれやれ、ここまで来れば監視員なんていないだろう。」
そう思いたくなるのは無理もない。
よくわかる。
ところがそうは問屋が卸さないとはよく言ったもので、流域の最深部で秩序を司っているのは僕なのである。
手ぐすねを引いているわけではないけれど、要するにそういうことなのである。
無券遊魚者は袋のネズミである。
この領域に限っては余程のことが無い限り、人様に出会うことは稀である。
僕自身、そう人目につくようでは岩魚釣り師としての資質を問われる。
監視員としては役立たずの部類である。
万が一にも、ここまで到達した無券遊漁者がいたとしたら、命懸けの道中に頭が下がる思いではあるが無券は無券である。
違法な漁法も然り。
適切な指導のもと、速やかにお帰り頂くことになる。
渓谷には例外も忖度も無い。
どこで券を売っているかわからなかったとか、朝が早くて買えなかったなど、言うだけはタダであるが、言い訳は無駄である。
「是非とも、当渓にお越し下さい。」などとお願いした覚えはない。
無券遊魚者が勝手に来ただけの事で、わざわざお越し頂かなくても僕は痛くも痒くもない。
さて。
釣りの準備はくれぐれも入念に。
僕は優しいのである。
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