1番ラインの道具立て
先頃、ある名人から1番ライン用の道具を一揃い譲り受けた。
要するに頂いちゃったのである。
なんだか生前贈与に思えなくもない。
若い頃、この類のサオに思いを馳せたことがある。
溪魚を掛けたら、サオには手元からぐにゃりと曲がって欲しくて仕方が無かったのだけれど、年々物欲から解脱して、近頃ではすっかり道具へのこだわりが無頓着になってしまった。
結局、1番ラインに手を出すことが無いままになっていた。
今の僕にこのサオを譲ってくれるということは何か理由があるに違いない。
人目を忍びつつ、山深い溪を跳梁跋扈しているばかりではいけない。
年に一度ぐらいは、釣り人がひしめき合う入溪の容易な川に出向いて、プレゼンテーションに細心の注意を払い、苦労してやっと一匹の木っ端岩魚を釣ることを忘れてはいけないということだろうか。
僕にこのサオの持ち味をうまく引き出せるだろうか。
宝の持ち腐れになってしまわないだろうか。
釣り場に立つ前に少し振ってみて手に馴染ませなければ。
サオは飾り物ではない。
溪魚を掛ける道具である。
わかっちゃいるけれど。
ウデがついていかないことには・・・。
今年はもう店仕舞にしてもいいかなと思っていたのだけれど、そうも言っていられなくなっちまった。
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