この際 釣れてくれれば何でもいい
敗戦の日が過ぎ、送り盆を終え、台風が遠ざかる。
連日の猛暑。
はっきり言って、家から出るのが怖い。
夏休みの思い出に、水辺で小魚やザリガニと戯れるなんて幻想である。
死んじまう。
悶々と過ごさざるを得ない釣り師たちは世に数多だろうけれど、渓魚たちの機嫌だって相当に悪いに違いない。
最悪の時代。
最悪の季節であるが。
それでも思うところあって、標高の高そうな沢筋に潜り込む。
車で行けない場所ではないけれど、敢えて単車で出掛けてみる。
多少なりとも気分を変えておかないと、生きる目的を見失いそうである。
釣れそうな大場所ではまず釣れなくて、釣れそうにないセコイ場所を流していると、何かの拍子に小マスが掛かってくる。
要するに幼魚ばかりである。
どうせ幼魚ぐらいしか釣れないだろうと諦めていると、稀にそれなりの型が掛かることもある。
つい、持っていかれそうになって、我に返る。
岩魚が釣れた。
2匹だけ。
長い沈黙の時間が過ぎて、忘れた頃に釣れてきた太いニジマス。
時期も時期だし、今日はこれぐらいで勘弁してやるか。
ビールが冷えている。
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