三度目の正直
これまで期待に反して今一つ活性が上がらなかった渓。
三度目の正直である。
他人にお金を貸す場面をご想像いただきたい。
「本当に返せよ。必ず返せよ。絶対に返せよ。」
人間という生き物は三回ぐらい念を押したがるそうである。
今度こそスゲェことになりはしないかと思いたいのが人情であるが、やはりこの世は世知辛いのである。
流心や肩では底に貼りついたまま、忘れた頃に巻き返しやポケットから鼻先が出る。
どうにもやりにくい。
ここは入渓が容易ではなく、ツキノワグマがとりわけ多い渓である。
はっきり言って、マイホーム主義者が来るところではない。
けれど、自ら相方になってくれたのがB場ちゃんである。
彼の釣果は僕より多い。
溪の活性は低いけれど、誠実さがここに表れる。
この日は何故か蚊が多い。
毛鉤を結ぶ手の甲にたかる蚊が煩わしい。
こんな時に快く煙を吐いてくれるB場ちゃんは人間蚊取線香である。
さて、来週は。
期待してもいいのだろうか。
なんだか不安になっちゃう。
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