よせばいいのに岩魚釣り
「いくら何でも渋過ぎる。」
先に入渓していたB場ちゃんの言。
機銃掃射のように叩き上がる根気。
彼は労力を惜しまない男なのであるが。
この陽気ばっかりは。
やってみると、底石の裏に張り付いて、梃子でも動かないとでも言いたそうな気概が見て取れる。
なるほどネ。
この日も必要以上に蒸し暑いけれど、それだけではなくて、連日の猛暑の影響が蓄積された結果ではないだろうか。
僕たちが日々喘いでいるように、水面下でも虫の息のようである。
交通事故に遭ったような不運な岩魚たち。
釣り師も気の毒であるが、岩魚も気の毒である。
暑くても火を焚かずにいられない損な性分。
ここは早々に店仕舞い。
夕マズメまでやり過ごせばいいかもしれないけれど、それは厭である。
こんな時のためのワサビ畑。
大人の道草。
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