下手なニンフも数撃ちゃ・・・釣れるかもしれない
入渓に際してはけっこうな力技を炸裂させつつ、携える釣り具はこの上なく華奢な道具立て。
初夏の爽やかな風は、ほぼ例外なく渓魚たちの神経を逆撫でするらしい。
風向きがコロコロと変わり、掴みどころがない釣りではあるけれど、昨今の社会情勢ほどでもなさそうである。
焚き物を集め、黙々と火遊びなどに耽ってやり過ごす。
時間潰しは避けて通ることができない重要な仕事であるが、職場で培った技が僕にはある。
湿った木を焚くのは少しコツがいるけれど、点いた火はけっこう粘り強い燃え方をする。
湿った男女の関係に火が点くとどうであろうか。
そのような経験が僕には無い。
一瞬、水が緩む。
食いが立ったのはほんの小一時間。
あれ?釣れてる。
食ったのは全てニンフである。
軽快に気持ちよく掛けたわけではない。
キャスティングのカックンカックン、これの打ち消しに躍起になる釣り師がここにいる。
どこか他人事のような、確信に欠ける釣り。
要するに、渓魚たちにアゴで使われているような心境。
まあいい。
ここにいる限り、変異株の危険性はゼロである。
100パーセント安全安心と言い切っていいのはこのような環境を指すのではないだろうか。
岩魚釣り師からぼったくるものは無い。
無いったら無い。
無い袖は振れない。
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