数の論理 木っ端岩魚の脅威
梅雨入り前。
水面ではハルゼミが食われ始めているに違いない。
僕はここに勝ちに来た。
とでも言いたくなるような覇気を溪に放つ。
そんな一日が始まる。
予定通りの一投目。
後は漲るヒレピンを淡々とこなすだけである。
足跡の主は全身黒づくめである。
つい先刻に通過したようであるが、そのようなことはこの際どうでもよろしい。
予定通りの中弛み。
盛大に火を熾し、地合いを窺う。
フタスジモンカゲロウの初物を発見。
さて、午後の部。
期待に反し、そこら中から涌いて出るのは年端も行かぬ木っ端岩魚ばかりである。
多勢に無勢。
釣っても釣ってもキリがない。
数は力、力は金とはよく言ったもので、この日、少数派の釣り師を圧倒的多数で抑え込もうとするのが夥しい木っ端岩魚たちである。
皮算用が外れた釣り師としては、甚だ不本意ではあるが、次世代の担い手は人の手を介さなくてもうじゃうじゃと育っているようである。
要するに、水面下では明るい未来が待っているわけである。
人間社会もこのようにいかないものだろうか。
新品のタイヤは心強い。
道中は車では入れない悪路である。
因みに、タイヤを交換したのは所有者であり、僕は使用者である。
そろそろ、適度な一降りが欲しいところ。
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