岩魚を釣るのも楽じゃない
統一地方選挙投票日の前日。
速やかなる期日前投票を済ませた岩魚釣り師は渓に降り立つ。
物事には節操というものが肝心であるが、有権者は然るべき筋にどのような審判を下すのであろうか。
小雨が降る肌寒い日柄。
上流から吹き下ろす風が冷たい。
渓魚が底に貼りつく典型的な展開である。
けれど、それを理由に釣れませんでしたでは済まされないのが釣り師の辛い立場である。
致し方なく、あれこれと手を尽くしつつ、地道に小魚を拾い歩く。
B場ちゃんは自称晴れ男であるが、この日の天候。
物事に例外は付き物である。
この男、このような時に限って僕の目の前で尺岩魚を釣り上げる癖がある。
まあいい。
釣りというものは日頃の地道な努力が報われるようである。
僕はどっちつかずの釣果を重ねる。
小雨がみぞれに変わる。
火を熾してはみるものの、指先の感覚が凍れ、身体が言うことを聞かなくなって漸く踏ん切りがつく。
早く湯舟に浸かりたい。
死ぬほど寒かったけれど、やっぱり今年の盛期は短そうであるね。
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