ハルゼミの季節
この溪の頭上は樹木のトンネル。
木漏れ日が水面でキラキラする。
過去の成功体験
大事なことだと思うがネから抜け出せない僕にとって何より肝心なことは其処彼処で鳴くハルゼミ。
どれどれ。
散々毛鉤の周りを泳ぎ回っておきながら、結局は帰っていく岩魚がやけに目に付く。
まだ暑さに身体が慣れていない我が国の民は、この日も熱中症対策を怠らずに生き抜かざるを得ないようであるが、僕が佇む溪の空気はやけに爽やかである。
けれど、この心地良さは渓魚たちにとって頗る居心地が悪く、僕には不快なこと極まりない湿った空気感の日柄にこそ弾けたくなっちゃうのが彼等の生態系らしいのである。
要するに、カップ麵ではなく、素麺が食べたくなる陽気でなければいけないのである。
そうは言っても、ここまで来てしまったものは今更ながら仕方がない。
まあ。今回はこれぐらいで勘弁してやるか。
いずれ、フタスジモンカゲロウが湧くだろう。
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