戸隠山に登って蕎麦を手繰る
奥社の脇から尾根筋に取り付いて。
鎖場なども早々にこなして。
ここで登場するのが世に悪名高い蟻の戸渡りである。
今回は善男善女の群れで渋滞している。
写真では様子が伝えにくいと思う。
逆方向から。
少し上から。
さらに上から。
要するにこういうことなのである。
落ちればその場で死ぬのだけれど、要するに落ちなければいいのである。
ここで落ちて死ぬようでは岩魚釣り師としての資質を問われる。
八方睨からの高妻山。
西岳と本院岳、左に槍穂、右に後立山。
あとはギザギザの稜線を歩いて牧場側に下ればよろしい。
時折、白馬三山などを眺めつつ。
高妻山のこの形はいかがだろうか。
実を言うと、僕が始めて登った山がこの戸隠山である。
巷で問題視されている典型的な中高年登山者である。
しかも初心者の単独行。
難所越えより、一介の釣師がこんな所に来ていいのだろうかという不安感を鳩尾のあたりにもやもやと抱えたまま稜線を歩いて牧場側に下山したのだけれど、今になれば懐かしい。
この山は手力雄命が放り投げた岩戸の岩塊。
岩戸隠れという神話ではそういうことになっている。
架空の人物とはいえ、他に山を投げつけるような奴は、さしあたり週刊少年ジャンプに登場する白ひげ海賊団の三番隊隊長ぐらいではないだろうか。
さらに、その上をいくところでは、隕石やガレキなどを自在に落下させる御仁なども現れる。
いずれにしても、力技は彼らに任せておけばよろしい。
僕としては、天鈿女命あたりが舞うところなどを眺めていた方がいいと思うのだけれど、どなたかやって頂くわけにはいきませんかネ。
一不動から沢筋を下るとちょうど昼時。
ここに一軒の良心的な蕎麦店がある。
この戸隠というところは前後左右、どっちを向いても素晴らしく商魂がしたたかな土地柄であるから、小心者の岩魚釣り師などはつい、たじたじになっちまうのだけれど、この店に限っては心安く暖簾をくぐり、蕎麦を手繰ることができるのである。
人様が打った蕎麦を手繰るのはいつ以来だろうか。
一応、こんな釣り師でも・・・、拙いながらソバソバの実の能力者である。
今回の温泉は少し遠回りだけれど県境を越える。
甘くないレモンの缶酎ハイ。
ビターレモンと書いてある。
すべからく度数は高めでなければならない。
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