なぜ山に登るかって? ビールを飲むために決まってるじゃねーか
やって来たのは妙高山。
健全な登山者精神を持ち合わせていない岩魚釣り師が一般登山客に混じり、不自然ながらも笑顔を作り、努めて気さくな挨拶などを交わしつつ、てくてくと登ってきたわけである。
南峰。
北峰。
どちらの大混雑も予想外であるが、登っちゃったものは仕方がない。
火打山を肴にこれをやるために僕はここに来た。
ここは手放しでヒャッハーといきたいところであるが、その一方で心中穏やかならぬ事情を僕は抱えちゃったのである。
山頂に到達する寸前、ものの見事に靴のゴム底が剥がれちゃったのである。
けれど、これを理由に下山できませんでしたでは通らないのが世間というものである。
夕方には実家の用事、さらに夜は隣近所の区費と組費を集めなければならない。
致し方なくゴム底を毟り取って下山にかかる。
強制的に靴は軽量化されるとしても、下山途中でゴム無しの靴底が擦り切れて、むき出しになった足の裏から血を流しながら帰るのはイヤである。
致し方なく足の裏に武装色の覇気を纏う。
さらに慎重かつ速やかに足を運ばなくてはならない。
本来、靴底というものは背負うものではないのであるが。
まあいい、ほぼ予定どおりに下山。
昼下がりの混浴露天風呂。
湯上り。
専ら人目を避けて谷底で蠢く岩魚釣り師ながら、ついつい浄化されちゃう瞬間。
雪が来る前にどこかでもう一回ぐらいやろうかね。
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