2020年06月28日
尺岩魚 釣り師の心理が表れる
梅雨の短い晴れ間。
入渓して間もなく、掛けた岩魚を取り込んでいるB場ちゃん発見。

横目で見ていると彼のサオは頻繁にしなっている。
しかも、九寸から泣き尺あたりをきれいに揃えてくる。



この日。
僕としては、一投目から瀬尻や肩で気持ちよく掛けるような釣りがしたかったのだけれど、それほど活性が高いわけじゃなくて、白泡や瀬脇の深みを何度も叩いて底に貼りついた魚を浮かせて食わせる根気のいる釣りである。
B場ちゃんは律儀な苦労人である。
安定した釣果から察するところ、この類の釣りも得意に違いない。
そうそう顔に出さない男であるが、燻らせる煙草の煙には極上の心地良さが見て取れる。
さて。
つい、副流煙に釣られて煙草を喫っちゃった僕としては、どこか小物専門釣り師にでもなったような心境。




まあいい。
満更、貧果というほどでもなさそうである。
渓魚というものはヒレピンに限る。
互いに口には出さないけれど、そのあたりがこの釣りの核心ではないだろうか。
どうにか泣き尺。
これぐらいを越えてくると面相が違ってくる。

さて。
この尺岩魚に関しては、釣れる瞬間まで全く念頭にあったわけではない。

尺上は釣れる時に釣るとしか言いようがない。
けれど、その時の状況で神のみぞ知るなどと言うのはいかがなものか。
ライズの主。

これでもいずれ尺上になるわけであるから、いてくれないと困るのである。
ここでおしまい。
帰路は長い。
この道草は釣り師の特権。


入渓して間もなく、掛けた岩魚を取り込んでいるB場ちゃん発見。
横目で見ていると彼のサオは頻繁にしなっている。
しかも、九寸から泣き尺あたりをきれいに揃えてくる。
この日。
僕としては、一投目から瀬尻や肩で気持ちよく掛けるような釣りがしたかったのだけれど、それほど活性が高いわけじゃなくて、白泡や瀬脇の深みを何度も叩いて底に貼りついた魚を浮かせて食わせる根気のいる釣りである。
B場ちゃんは律儀な苦労人である。
安定した釣果から察するところ、この類の釣りも得意に違いない。
そうそう顔に出さない男であるが、燻らせる煙草の煙には極上の心地良さが見て取れる。
さて。
つい、副流煙に釣られて煙草を喫っちゃった僕としては、どこか小物専門釣り師にでもなったような心境。
まあいい。
満更、貧果というほどでもなさそうである。
渓魚というものはヒレピンに限る。
互いに口には出さないけれど、そのあたりがこの釣りの核心ではないだろうか。
どうにか泣き尺。
これぐらいを越えてくると面相が違ってくる。
さて。
この尺岩魚に関しては、釣れる瞬間まで全く念頭にあったわけではない。
尺上は釣れる時に釣るとしか言いようがない。
けれど、その時の状況で神のみぞ知るなどと言うのはいかがなものか。
ライズの主。
これでもいずれ尺上になるわけであるから、いてくれないと困るのである。
ここでおしまい。
帰路は長い。
この道草は釣り師の特権。
2020年06月22日
ネマガリダケを殲滅 源流王の通り道
ネマガリダケは泣く子も黙る高級食材ということになっている。
地方によって、チシマザサとかヒメタケなどと呼ばれているようである。

食品市場の需給バランスというのだろうか。
高級旅館や料亭には目玉が飛び出るような高値で買い取るところもあるそうで、荒稼ぎのチャンスを逃してなるものかと、夜明けを待たずに笹薮に飛び込む煩悩逞しきタケノコ採り師は未来永劫絶えることがない。
さらに、笹薮で方向を失ったタケノコ採り師が自力で帰れなくなって、遭難したり、死んだりするのもこの季節の風物詩である。

さて、そんなネマガリダケであるが。
岩魚釣り師にとっては命を懸けてまで採捕するほどの代物ではない。
むしろ、釣行を妨害する抵抗勢力そのものである。
先達から受け継いだ源流に通じる岩魚の道。
この釣り師のライフラインを絶えず塞ぎにかかるのがネマガリダケである。
要するに、岩魚を釣るためには笹薮を刈らなければならない。
毎年、僕が一人黙々と藪を刈っていたのは、この領域で唯一生き残ってしまった源流王の責任感ゆえであるが、今年は手伝ってくれる相棒がいるのである。
毎度お馴染みのKONちゃんとB場ちゃんである。

ネマガリダケに造詣が深いKONちゃん。
自称ネマガリマスターである。

ついでに言うと、僕はヘソ曲がり釣り師である。
B場ちゃんは堅実に仕事をこなしつつ、実はモクモクの実の能力者でもある。

具合が良い事に、常に煙を吐いているから薮蚊やブヨが寄って来ないのである。
人間蚊取り線香である。
ツキノワグマはタケノコを齧ってくれる有難い住人である。

辛い作業を終えて下山。

お互いにもう年である。
体中が痛いネ。
釣友というものは有難い。
これほどに苦労性の釣りである。
現代社会、若い力は当てにできない。
けれど、僕が現役でいるうちは、この岩魚の道が塞がることはない。
源流王の座。
欲しけりゃ譲ってあげるよ。

地方によって、チシマザサとかヒメタケなどと呼ばれているようである。
食品市場の需給バランスというのだろうか。
高級旅館や料亭には目玉が飛び出るような高値で買い取るところもあるそうで、荒稼ぎのチャンスを逃してなるものかと、夜明けを待たずに笹薮に飛び込む煩悩逞しきタケノコ採り師は未来永劫絶えることがない。
さらに、笹薮で方向を失ったタケノコ採り師が自力で帰れなくなって、遭難したり、死んだりするのもこの季節の風物詩である。
さて、そんなネマガリダケであるが。
岩魚釣り師にとっては命を懸けてまで採捕するほどの代物ではない。
むしろ、釣行を妨害する抵抗勢力そのものである。
先達から受け継いだ源流に通じる岩魚の道。
この釣り師のライフラインを絶えず塞ぎにかかるのがネマガリダケである。
要するに、岩魚を釣るためには笹薮を刈らなければならない。
毎年、僕が一人黙々と藪を刈っていたのは、この領域で唯一生き残ってしまった源流王の責任感ゆえであるが、今年は手伝ってくれる相棒がいるのである。
毎度お馴染みのKONちゃんとB場ちゃんである。
ネマガリダケに造詣が深いKONちゃん。
自称ネマガリマスターである。
ついでに言うと、僕はヘソ曲がり釣り師である。
B場ちゃんは堅実に仕事をこなしつつ、実はモクモクの実の能力者でもある。
具合が良い事に、常に煙を吐いているから薮蚊やブヨが寄って来ないのである。
人間蚊取り線香である。
ツキノワグマはタケノコを齧ってくれる有難い住人である。
辛い作業を終えて下山。
お互いにもう年である。
体中が痛いネ。
釣友というものは有難い。
これほどに苦労性の釣りである。
現代社会、若い力は当てにできない。
けれど、僕が現役でいるうちは、この岩魚の道が塞がることはない。
源流王の座。
欲しけりゃ譲ってあげるよ。
2020年06月18日
2020年06月13日
岩魚釣り師の外道釣り
梅雨入り。
渓魚の活性は高まる半面、釣り師にとっては悩ましい季節。
この日はB場ちゃんの提案でお気楽に防波堤で豆アジのサビキ釣り。
段取りから何から一切合切ひっくるめてB場ちゃんにお任せ状態。
現代社会ではこれを丸投げと言う。
加えて、僕の足元は能天気なサンダル履き。
ところが。
予報では止むはずの雨が一向に止む気配が無い。

B場ちゃんとKONちゃんの釣りを見物。
要するに車内から出たくないだけである。
釣れてくるのはフグばかり。

アメフラシ男のKONちゃんに漸く釣れた豆アジ。

咥え煙草で豆アジを釣るB場ちゃん。

そこで、僕も取り掛かってみたのであるが、釣れてきたのはご多分に洩れずフグばかりである。

貴重な釣果。

貴重な外道。


フグ三昧の一日。
コマセのオキアミが尽きたところで終了。

雨は止まなかった。

渓魚の活性は高まる半面、釣り師にとっては悩ましい季節。
この日はB場ちゃんの提案でお気楽に防波堤で豆アジのサビキ釣り。
段取りから何から一切合切ひっくるめてB場ちゃんにお任せ状態。
現代社会ではこれを丸投げと言う。
加えて、僕の足元は能天気なサンダル履き。
ところが。
予報では止むはずの雨が一向に止む気配が無い。
B場ちゃんとKONちゃんの釣りを見物。
要するに車内から出たくないだけである。
釣れてくるのはフグばかり。
アメフラシ男のKONちゃんに漸く釣れた豆アジ。
咥え煙草で豆アジを釣るB場ちゃん。
そこで、僕も取り掛かってみたのであるが、釣れてきたのはご多分に洩れずフグばかりである。
貴重な釣果。
貴重な外道。
フグ三昧の一日。
コマセのオキアミが尽きたところで終了。
雨は止まなかった。
2020年06月08日
兵どもが夢の跡
ハルゼミが泣き始めるとお膳立てが整ったことになっている。
にも関わらず、奥歯に物が挟まったような出方をする岩魚たち。

聞けば。
前日。
B場ちゃんが入渓してみるとまさかの先客。
結局、日没近くまで粘りまくっちゃったらしいのである。
沢筋の痕跡から察するところ。
いずれも小足の釣り師が熾烈な鬩ぎ合いを繰り広げたに違いない。
イノシシの群れも加わって乱痴気騒ぎ。
漁場というより戦場である。
そもそもここはクマの巣である。
ツキノワグマの成獣が徘徊などをしてくれると先客に頭を痛めなくて済むのであるが、このところ彼らは出没を自粛しているのだろうか。
さて。
早朝の入渓。
火を熾して露払い。

蹂躙を耐え忍んだ岩魚たちは頗る不機嫌であるが、掛かったときの引きはけっこう強い。




自然に流しても見向きもしなかったけれど、鼻先を叩いたら反射喰い。

この日の良型。

取るに足らない木っ端岩魚であるが、氷河期の遺伝子そのものである。

世代交代の証。
粗末にしては罰が当たる。
ここでお開き。

初夏の木漏れ日は強い。
全身が緑色になっちゃいそうな錯覚。


にも関わらず、奥歯に物が挟まったような出方をする岩魚たち。
聞けば。
前日。
B場ちゃんが入渓してみるとまさかの先客。
結局、日没近くまで粘りまくっちゃったらしいのである。
沢筋の痕跡から察するところ。
いずれも小足の釣り師が熾烈な鬩ぎ合いを繰り広げたに違いない。
イノシシの群れも加わって乱痴気騒ぎ。
漁場というより戦場である。
そもそもここはクマの巣である。
ツキノワグマの成獣が徘徊などをしてくれると先客に頭を痛めなくて済むのであるが、このところ彼らは出没を自粛しているのだろうか。
さて。
早朝の入渓。
火を熾して露払い。
蹂躙を耐え忍んだ岩魚たちは頗る不機嫌であるが、掛かったときの引きはけっこう強い。
自然に流しても見向きもしなかったけれど、鼻先を叩いたら反射喰い。
この日の良型。
取るに足らない木っ端岩魚であるが、氷河期の遺伝子そのものである。
世代交代の証。
粗末にしては罰が当たる。
ここでお開き。
初夏の木漏れ日は強い。
全身が緑色になっちゃいそうな錯覚。