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2022年06月15日

地道にコツコツ岩魚を釣る

梅雨入りである。
近年、梅雨というものは大地を潤す恵みの雨ではなく、甚大な災害をもたらす警戒すべき対象にされてしまった感がある。
現代社会に生きる詩人、歌人、俳人たちはこの変異した季節の風物詩をどのように扱うのだろうか。

本降りの翌朝。
釣り師にとっても、昨今の梅雨は先行きの読めない相場のようであるが、僕は投資家ではない。その日暮らしの慎ましき岩魚釣り師である。

時節柄というワケではないけれど、ただ釣りに行けば良いってもんじゃなくて、落石や崩落、急激な出水などが起きにくい地相の渓を選ばなくてはならない。

聞くところによると、釣り欲に流されるまま、分不相応な領域に踏み込んだ挙句、取り返しのつかないことになった経験の持ち主はちらほらといるらしいのであるが、一献の酒のお伽にもなりゃしない。
僕は会ったことはないけれど。



さて、気分を変えよう。
まあ、この渓であればまず死ぬようなことはあるまい。

などと思いつつ、何の変哲もない釣り師が、何の変哲もない岩魚を黙々と釣る。








底に張り付いた魚を一匹ずつ剥がしながら拾い歩く作業は非効率の極みであるが、文句を言わずに釣り続けていればいずれ良いことがあると思いたい。

などと、努めて謙虚なことを呟いた矢先に尺っぽい良型を釣り落とす。
やれやれ。








枝に引っ掛かっていた毛鉤を発見。
今夜は老眼鏡をかけて詳細な精査の上、この毛鉤がどのような意図で巻かれたものであるか徹底的に検証する必要がある。
このような所までやって来るぐらいであるから、大方の察しは付くけれど、これを巻いた釣り師の氏素性から人間性に到るまで、この毛鉤は僕に詳しく供述をすることと思われる。
これは良い酒の肴になるネ。


流木に引っ掛かっていたランディング・ネットを発見。
僕はネットを持ち歩くことがないから詳しいことは語れないけれど、握りに銘木などを使ってあるようで、なかなかの手の込みようである。
さらに、とりわけ小ぶりに作ってあるあたり、ほんの小魚であっても、せめて写真上では大きく見せてやろうとでも言いたげな思惑が見て取れる。
いずれにせよ、釣り場に物を捨てるようでは釣り師失格である。
僕にとっては邪魔であるが、仕方無く回収せざるを得ない。









地道にコツコツと釣り続けた一日。




実を言うと、けっこう寒かったのであるよ。