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2022年05月12日

介護フィッシングに向けて

この季節の渓魚は、前日から気温が下がると著しく活性が下がり、底に張り付きがちになる。

初めて来た釣り師はこの川には魚がいないと決め付けたくなるだろうけれど、釣りには日柄というものがあるから、第一印象だけで釣り場を判断しない方が得策だと僕は思う。

そのような日柄であるから、本来はサオを出すべきでないことはわかっているけれど、この日の目的は釣りそのものではなく、入溪ルートの整備である。

近年、急速に身体機能が衰えた釣友たち。
かつては、いずれもそれなりの業師揃いではあっただろうけれど、このところは経年劣化に磨きがかかり、見ているこっちが心配になっちゃう。
今期を逃すと、彼らがサオをしならせる機会はこの先に巡って来るだろうか。

そこで、いくらかマシなB場ちゃんと僕が一抹の責任を感じるに至り、老体に鞭を打ち、入渓ルートの藪を刈り、足元の倒木を取り除き、ロープが必要な急斜面を点検したわけである。




その上で、彼らの安全安心な釣行計画を作成するための試し釣りなのである。
まるで釣り場のケアマネージャーである。

要するに、我が釣友たちが釣り場に立つには介護が必要なのである。

そうは言っても、逆の立場になるのは時間の問題。
そこはお互いさまなのである。

情けは人の為ならず。


試し釣りの結果はどうか。

余程のことがなければドライフライで通すB場ちゃんではあるが、この低活性である。

日頃の信条を曲げて、浮木を付けてニンフを沈めざるを得ないのは数えるほどの木っ端岩魚を掛けるためである。
「・・・背に腹は代えられない。」
聞いたヨ。確かに。





致し方なく僕も毛鉤を沈める。

数少ないアタリを取った結果はやはり僅かな木っ端岩魚ばかりである。






恐らく、このサイズの魚たちは良型が動いている時には出たくても出られないに違いない。

けれど、彼らがいてくれるから渓の未来に希望が持てるのである。



馬を水辺に連れていくことは出来ても無理に水を飲ませることは出来ないというのは英国の格言である。

デイサービスに通うことを嫌がる高齢者も多いそうである。

無理強いするわけにはいかないけれど、我が釣友たちは釣行に意欲を示すだろうか。



山桜が咲いたよ。




残雪が消える頃は新緑の初夏。